手の中にある、小さな自由から
大学のキャンパスに、
市民にもひらかれたファブラボをつくった。
制度の中にありながら、
制度の外にも届く場を手づくりで開くこと。
それは、学びや研究の枠を越えて、
社会の新しい関係性を紡ぐ行為だった。
湘南ひらつかキャンパスに生まれた
日本の大学初のキャンパス内ファブラボは、
やがて多くの大学のモデルケースとなり、
「大学 × 市民 × つくる自由」というかたちが各地にひろがっていった。
個人と少人数の手で始まった空間の実装が、
制度を内側からやわらかく揺らし、
他大学や他地域へと波及する「新しい標準」の兆しとなった。
現在は、みなとみらいキャンパスに場所を移し、
ファブラボみなとみらいとして継承されている。
変わらないのは、「誰もがつくる自由を持てる場」という思想。
大学のなかに、個人の手による余白を。
そこから、制度のかたちも変わっていく。